塩素系漂白剤での脱色実験~どこまで色が落ちる?~
前回はさまざまな色の綿生地に塩素系漂白剤を垂らして色の変化を調べました。
前回のコラムはこちら
塩素系漂白剤での脱色実験~何色から何色に変わる?~
1時間後の結果を見て思ったのですが、赤と黒が他の色に比べて色が残っています。
赤は一時間後もピンク、黒はオレンジが残っています。
果たしてこれ以上色は抜けないのか。
気になったので、赤と黒の生地を塩素系漂白剤原液の中に入れて24時間以上放置してみました。
結果はこちら。
どちらも真っ白まではいきませんが、生成り色になりました。
ただし、生地がボロボロで、小さな穴が開いてしまったり、裂けてしまっています。
生地が溶けたのか、厚みもだいぶ薄くなり、生地表面もごわついています。
ルーペで見ても、繊維が切れ切れになって透明感がなくなっているのが分かります。
髪の毛で例えると、ブリーチを繰り返し、藁みたいな髪の毛になってしまっているような状態でしょうか。
櫛(くし)を通しただけでブチブチと髪が切れてしまうような状態です。
ここまで生地が傷んでしまうと着用できなくなってしまいますので、白くしたいからといって塩素系漂白剤に長時間つけることはやめましょう。
では、安全に色を抜くにはどうするか。
染色会社では染めることはもちろん、脱色も行います。
色ブレが起きた時など、いったん生地についた染料を落としてから染め直すこともあるからです。
ですが、塩素系漂白剤は使いません。
ハイドロサルファイトという還元作用のある薬剤を使用します。
これにより、生地の傷みを抑えながら色を抜くことが可能となります。
脱色力は塩素系漂白剤と比較すると劣ります。
元が薄い色ですと、白になる事もありますが、脱色をしても真っ白になる事は稀で、クリーム色~薄いオレンジが残ることが多いです。
染色だけでは薄い色から濃い色にしかできませんが、脱色をプラスすることで濃い色から薄い色にすることも可能ですので、そのような染め替えをご希望の場合は一度ご相談ください。
※脱色には向き不向きがありますので、お断りすることもございます。
